お知らせ

平安神宮 様 Voice ~対談から見える健康管理のヒント~ vol.07

 vol.07 平安神宮 様

四海平安の祈りを捧げる神職の方々の健康をご支援

日本文化のふるさと京都。その繁栄の象徴とも言えるのが、平安京の正庁(朝堂院)を模して創建された「平安神宮」です。美しい社殿で執り行われる祭祀は、見る者に平安の姿を想起させます。儀礼の中心となるのは、白衣・袴装束に身を包む神職です。とくにコロナ期は、病気平癒・疫病退散の儀式を行う神職の姿を目にされた方も多いのではないでしょうか。今回は、神職・巫女のお勤めと心身の健康づくりについて、総務課長人事厚生課長の髙橋秀行様にお話しをお聞きしました。インタビュアーは武田病院健診センター営業部の藤岡課長です。

平安神宮神職へのインタビュー 髙橋秀行 藤岡早苗

(左)平安神宮 髙橋秀行 様   (右)武田病院健診センター 藤岡

神職の日常と健康管理の重要性

藤岡 神職の方は、とても優雅な物腰で厳粛な儀式を執り行っておられます。こうしたイメージに対し、実はハードなお仕事だと耳にしたこともあるのですが、実際、如何なのでしょう。

髙橋 仰るように、皆、常に所作に気を配っており、そのためにもまず気持ちを落ち着けることを重視しています。我々からするとお勤めはごく当たり前のことなのですが、ときに次から次へと祭祀が続くこともあり、ハードな一面もあると言えます。その最たる例は年末年始でしょうか。新年を迎えるにあたり、勤務は31日から1日まで続き、状況によっては仮眠もなかなかとれなくなります。こうした年始参りの対応、そして平安神宮創建と平安遷都を祝す「時代祭」は特に大切にしている行事です。我々神職・巫女は体調を整え、相応の心構えで臨んでいます。

武田藤岡 本当に、髙橋さんはもちろん皆さま美しい所作でいつも落ち着いておられるので、そのような激務をこなされているとは感じられませんでした。そうなりますと、健康管理はますます重要ですね。

髙橋 そうなのです。実は私、入社間もない頃、宿直中に十二指腸潰瘍で倒れたことがありました。救急車で搬送されて入院し、そこから2ヵ月間、お休みをいただくことになったのです。

藤岡 それは大変でしたね。

髙橋 はい。周囲には多大なご迷惑をおかけし、本当に反省しきりでした。そこからは「絶対に身体を壊してはいけない」「迷惑をおかけしてはいけない」との意識を持つようになり、以降20年間、何事もなく過ごさせていただいております。

藤岡 普段からの心掛けで、生活が変わったのですね。現在、髙橋さんは人事厚生課長として、皆さんのご健康を守るお立場となっていますが、その時のご経験が生きているということでしょうか。

髙橋 そうですね。自身の経験も踏まえ、皆に普段からの健康管理の重要性を伝えていこうと心掛けています。実際には「健診の前だけダイエットしても意味ないぞ!」など冗談めかしたものですが。

藤岡 ああ、それは耳が痛い人も多いかもしれませんね(笑)。つい直前だけ頑張りたくなる気持ち、よく分かります。

 

 

数値で自身を把握するのが健康管理の基本 健診は自身を見つめ直す機会ともなる

平安神宮 髙橋 藤岡早苗 藤岡 まさに今、仰っていただいた『健診』『健康づくり』が今日のテーマです。やはり健康管理の基本となりますのは、数値でご自身の状態を把握することと思います。これを継続していくのがご承知の定期健診であり、平安神宮様では、当センターの巡回健診をご利用いただいていますね。

髙橋 健診バスで来ていただき、皆さんに準備をしっかりしていただいているので、我々は職務を行いながら健診を受けられます。本当にありがたく、助かっています。

藤岡 お勤めの動きに組み入れられる巡回健診は、受診率が高くなりますよね。平安神宮様もほぼ100%の受診率となっていますね。

髙橋 どうしても職務で当日に受けられない者が一部発生しますので、対象者は公休日に武田病院健診センターさんで直接受診しています。

藤岡 お休みの日に受診されるとのことで、何かご意見が出たりはしませんでしょうか。

髙橋 職員の年齢層も幅広いですので、自身の健康への優先度が低い者からは色々な意見が出ることもあります。いずれにしましても、定期健診は自身の健康を見つめ直す良い機会になっていると感じます。

藤岡 ありがとうございます。健診後は、平安神宮様に対しては再検査・精密検査(二次検査)項目のご案内をさせていただいています。二次検査受診率向上に繋がっているとうれしいのですが。

髙橋 渋々受けるといった者も少なくありませんので、いつも意識改革が必要とは思っています。

藤岡 そのお気持ちは私も分かります。きっとほとんどの方が同じなのだろうと思います。それでも、要再検査・二次検査の場合、重大なケースにつながることもありますので、是非髙橋さんの方から受診をお勧めしていただきたいとお思います。

髙橋 分かりました。皆の健康のためですから。

藤岡 ありがとうございます。これに関連し、当センターからご案内させていただいている健診アプリ「NOBORI」ですが、髙橋さんはご登録いただいていますでしょうか。

髙橋 申し訳ありません。まだ未登録なのです。

平安神宮 髙橋秀行 藤岡早苗藤岡 職員さまのご反応等耳にされることはありますか?

髙橋 紙でなくスマホで確認するということに抵抗のある者もいるようです。

藤岡 健診結果はNOBORIからいつでもプリントアウトできるのですよ。それにアプリ自体が面白いので試してみる価値があります。

髙橋 面白いのですか?

藤岡 ええ。例えば受診時のレントゲンやCT・MRIの撮影画像をスマートフォンで手軽に見られるのです。昨年はこうだった。今年はこうなっている、といった比較もできるので、見比べるのは面白いというご意見が多いです。他ではなかなか無いサービスだと思います。

髙橋 それは皆に薦めてみたいですね! これはNOBORIに登録するより前のデータも見られるのでしょうか。

藤岡 残念ながら登録後以降のものに限られます。ただ、先般、受診いただいた健診結果データはまだ間に合いますよ。

髙橋 それは良かったです。さっそく登録しないといけませんね。

 

新型コロナウイルス感染症への対応と伝統の壁

藤岡 皆さんの健康面では他に、どのような取り組みがありますでしょうか。特徴的なものがありましたら教えていただきたいです。

髙橋 特徴的と言えば、やはり新型コロナウイルス感染症でしょうか。緊急事態宣言下では、当神宮も門を閉ざし、参拝者ゼロという体験したことのない状況となりました。

藤岡 新型コロナウイルス感染症が「入ってきそう」「入ってきたのでは?」という時期は、日本が大パニックとなりましたね。

平安神宮 髙橋秀行 藤岡早苗髙橋 当時の私は、祭祀部で多くの巫女さんの管理を行うポジションでした。参拝客に応対するのは、事務所等の窓口業務を行う巫女さん達です。海外から危険なウイルスが入ってくる懸念がありましたので、マスクの着用や仕切りを設けることを提案したのです。

藤岡 今では当たり前の感染拡大防止の対策ですが、伝統的な背景もありますし当時は抵抗も大きかったのではないかと思います。

髙橋 そうですね。なかでも神社界隈は古くからの慣習を大切にしています。ですので、窓口のビニールはもちろん、巫女さんが不織布のマスクを着用して参拝客に応対するというのは、全くありえないことだったのです。

藤岡 先見の明でしたが、反発も強かったということでしょうか。

髙橋 当時はなかなか理解してもらえず、何度も掛け合うことになったのです。風向きが変わったのはダイアモンドプリンセス号の入港でした。

神宮 髙橋秀行 藤岡早苗藤岡 いよいよ「国内に新型コロナウイルスが入ってくる」という差し迫った状況を誰しも感じる光景でしたね。

髙橋 そう思います。とは言え一(いち)神職からすると、神社の常識を覆すのは皆さんがご想像されるより、もっと大変なことなのです。とにかくその時は、最前線で勤めている巫女さん達を守らないと、という意識でした。

藤岡 参拝者に対応するのは、巫女さん達ですものね。その後は、マスク着用、ビニールの仕切りを設け、お参りもソーシャルディスタンスを設けられたのですね。

髙橋 はい。当時、ご理解いただき、協力していただいた皆さまには感謝しかありません。

 

神職の使命と環境整備の取り組み

藤岡 巫女さん…女性従業員のお話が出ましたが、今年は神職にも女性の方が入られたと伺っております。女性ならではの課題などはあったのでしょうか?

神宮 髙橋秀行 藤岡早苗髙橋 基本的に男性も女性も神職の勤めに違いはないのですが、宿直については様々な議論がありました。結局、泊まる部屋や潔斎場(お風呂)に鍵を設置することで意見が落ち着き、実際に運用しています。

藤岡 そういった安心できる就労環境を整えるのも髙橋さんのお仕事なのですね。具体的に宿直ではどのようなことをされるのでしょう?

髙橋 電話など夜間の連絡応対であったり、人感センサーの対応などですね。境内にはこうしたセンサーを多数、設置しており、夜間になると時折、反応することがあるのです。

藤岡 そうなのですね。そうした事態は増加しているのでしょうか。

髙橋 近年、増加しているのです。また、日中も立ち入りを禁止しているエリアに入って来られる観光客の方も増えておりますので、サイン類や声かけで対応している状況です。

藤岡 そもそも観光施設ではなく、お祈りをする場所ですからね。

髙橋 まさに仰る通りです。当時、京都の復興を願う多くの方の思いのもと、四海平安の祈りを込めて創建されたのがこの平安神宮であり、今も祈りを捧げ続ける神域なのです。人間は生きていく上で、色々な罪や穢れが重なってきます。例えば、知らぬ間にアリを踏んで殺生しているなどです。また、社会を生きていると雑念も入ってきます。そういったものが積み重なるのですね。このような乱れた状態で神域に入るのはよろしくありません。結婚式や御祈祷で神職が大幣(おおぬさ)を振ってお清めするのをご覧になっていると思います。これは修祓(しゅばつ)と言いまして、心身共に清らかにするお祓いの儀式です。

藤岡 修祓を受けられない場合は、どのような対応になるのでしょうか?

神宮 髙橋秀行 藤岡早苗髙橋 一般参拝の方は、手水(てみず)を行います。手を清めて口を清めるのが修祓の代わりになるものです。落ち着いて、穏やかな心で神様と向き合います。そうした行為を通じて神様から御神徳をいただきます。

藤岡 手水が修祓の代わりになると伺って、日々の動作にも大切な意味があることに改めて気づかされますね。参拝する私たちも、より丁寧な気持ちで向き合いたいです。

髙橋 はい。心身を清めるのが基本です。我々のお勤めは、朝の掃除から始まります。箒で境内を掃くのですが、これも掃き清めるという意味があります。綺麗にすることによって、気持ちよく参拝されることをいつも願っています。ご案内した方からは、「来てよかった」「お参りして良かった」「気持ち良かった」とのお声をいただくことも多く、我々の遣り甲斐につながっています。

藤岡 本日は良いお話しをいただきありがとうございます。日々、神様と向き合いながら、地域と人々を支えておられる皆さまを、これからも「健診」という形でサポートさせていただけたら嬉しいです。

髙橋 ありがとうございます。

 

 

平安神宮

https://www.heianjingu.or.jp

■所在地

京都府京都市左京区岡崎西天王町97

 

■従業員数

51名(男性34名、女性17名) うち神職(25名)   ※ 2025年6月1日現在

 

■概要

1895年(明治28年)、平安遷都1100年を記念した第4回内国勧業博覧会の開催と、平安遷都千百年紀念祭の執行とともに、京都の始祖桓武天皇を御祭神とした平安神宮が創建されました。1940年(昭和15年)には、平安京有終の天皇、孝明天皇を合祀。京都総鎮守として市民のみならず、国内外に広く崇敬されています。

 

記事一覧はこちら

89

ご予約・お問い合わせ

ご予約はWebフォーム、またはお電話にてお気軽にご連絡ください。

武田病院グループ総合窓口075-746-5100

月曜日~金曜日: 午前 8:30~午後 5:30

土曜日(祝日除く): 午前 8:30~午後 5:00